君をひたすら傷つけて
 降りた場所から石畳の上には深紅の絨毯が続いている。そして、開かれたドアの向こうには眩い光で溢れていた。天井には豪華なシャンデリアが煌めくガラスに光を反射させている。今日のホテルは最高級だと分かるのは、建物だけでなく、人を寛がせる雰囲気、きめ細やかな心遣い。入った瞬間から、別世界に来たように感じた。

 見上げる天井にはシャンデリアに照らされた宗教画があり、繊細な色使いにドキドキした。天井を埋めるように書き込まれた宗教画は美術館に来たような気にする。

 精巧な彫刻の施された木製の枠組みの中にはロココ調の美しい布で作られた布でソファは作られてあった。そこに座ると、座り心地はいいし、身体を支える肘掛けの木は長い間大事にされていたのだろう。しっとりとした経年した色だった。

「鍵を取ってくるから、ここで待っていてください。里桜さんは特にお疲れでしょうから、ゆっくりとされていてください」

「俺も一緒にいってくる」

 おにいちゃんと篠崎さんがフロントの方に歩いていくのを見て、天井に視線を向けると溜息が零れそうなほど、美しい壁画あり、マリア様の穏やかな微笑みは優しい。癒しの微笑みが包み込んでいるように感じた。

「里桜ちゃん。明日、先に帰るけど日本に帰ったら、一緒に食事をしましょう」

「はい。私も一緒のことを思ってました。日本に帰ってもまた会いたいです」

「よかった。里桜ちゃんとこれからはお友達でいて欲しいの。篠崎さんを介して知り合ったけどこれからは個人的に会いたいから、連絡する」
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