君をひたすら傷つけて
 篠崎さんとお兄ちゃんを見るとフロントでの手続きが終わったのか、何か話をしながら、歩いてくる。

「お待たせしました。ホテルの係員の案内をお断りしてますから、もし、何かあったら、私の部屋に連絡してください。では、行きましょう」

 そんなお兄ちゃんの言葉に頷いてから、みんなでエレベーターに乗りこむと、ボタンの横にお兄ちゃんが立ち、私はその横に立った。篠崎さんと里桜ちゃんは私の前で、篠崎さんが里桜ちゃんの手をしっかりと握っていた。里桜ちゃんは少し恥ずかしそうな表情を向けるけど、自分から篠崎さんの手を離したりはしなかった。

「海はこのホテルに泊まったことあるから、施設の説明をしないでいいですね」

「ああ。大丈夫だ。雅には後から説明します」

 そういったお兄ちゃんの言葉に私は首を振った。

「私も説明しなくて大丈夫。ここは宿泊したことないけど、外国のホテルには慣れているし、それに困ったら、コンシェルジュを頼るから。それよりも明日の朝、一緒に食事しましょ。流石に一人は寂しいから」

「コンシェルジュもいいですが、困ったことがあったら私にも連絡してください。それと明日の朝の食事には迎えに行きます」

「そうしてくれると助かる」

 里桜ちゃんは篠崎さんを見上げて話しかけた。

「海斗さんは宿泊したことのあるホテルなんですね」

「前にドラマの撮影で来たことあるんだよ。と言っても普通の部屋だったけど」

「普通の部屋?」

「今日はジュニアスイートだよ」

「贅沢のしすぎです」

< 901 / 1,105 >

この作品をシェア

pagetop