君をひたすら傷つけて
「わかった。じゃ、そろそろ私たちもローマの空港に行きましょう。橘さんと叶くんも日本に帰るの?それともニューヨーク?」

「みんな一緒に日本だよ。聖はしばらく日本にいる予定だよ」

「そうなの?」

「ああ、聖の奥さんが出産間近だから、日本にいるらしい」

「……。そうなの」

「雅。帰ったら大事な話がある」

「わかった」

 私たちはフィレンツェの街を後にして、ローマまで行き、飛行機に乗り込むことになった。私たちが搭乗手続きをしている間に、お兄ちゃんは篠崎さんと里桜ちゃんの飛行機のチケットの準備を終わらせていた。

「社長からの連絡の後、フランスでのことをリズさんに連絡した。リズさんは快く引き受けてくれたよ。ガイドブックもない状況で二人を行かせるのは心配だけど、リズさんがいれば大丈夫」

「そうね。リズにとってパリは庭のようなものだもの。それなら安心ね」

「忙しいリズさんに頼むのは気が引けたが、海と里桜さんの力になってくれるのはリズさんしか思い浮かばなかった」

 フランスまでの飛行機、ホテル、帰りの飛行機と手配をするのには時間が掛かるけど、お兄ちゃんは全てをサラッと終わらせた。そして、リズにまで連絡。お兄ちゃんはここで篠崎さんを待ち、私は日本に帰る。

「そろそろ時間だろ」

 お兄ちゃんは搭乗口の前で出国手続きをしている私たちの前で穏やかに微笑んだ。そして、里桜ちゃんのご両親に頭を下げた。
< 925 / 1,105 >

この作品をシェア

pagetop