君をひたすら傷つけて
「すみません。こちらの不手際で、ミラノからヴェネツィアに日本のマスコミが移動しているらしく、フランスのパリに海と里桜さんの新婚旅行の先を変えることにしました。二人に何も言わず、勝手に決めてしまうのは申し訳ないのですが、今、二人にとって一番いい場所はフランスです。ですので、そちらの方に予約をし直しました。まだ、海と里桜さんは観光の途中と思いますので、皆さんが飛行機に乗り込んだ後に海は連絡します」
社長からの連絡とはいえ、勝手に行き先を変えることを里桜ちゃんのご両親に話すお兄ちゃんは、お兄ちゃんが悪いわけでもないのに、申し訳なさそうな声を出していた。
「色々とありがとうございます。今回の結婚式も、結婚パーティも親としては感謝の気持ちしかありません。新婚旅行も二人が楽しんでくれたらいいので、私たちは何も言うことはないです。里桜が日本に帰ってきてからの土産話を楽しみにしています。それでは篠崎さんと里桜のことをよろしくお願いします」
「もちろんです。お気をつけて日本までお戻りください」
お兄ちゃんは里桜ちゃんのご両親と話を終わらせると、私の方を見つめた。そして、一度目を伏せてから、もう一度私の瞳をしっかりと見つめた。
「雅。頼む」
「わかった。大丈夫よ。日本に着いたら連絡する」
そういうと、私はお兄ちゃんを一人ローマの空港に残して、飛行機に搭乗することになった。振り返るとお兄ちゃんは私を見つめている。そして、私を見て、頷いた。
社長からの連絡とはいえ、勝手に行き先を変えることを里桜ちゃんのご両親に話すお兄ちゃんは、お兄ちゃんが悪いわけでもないのに、申し訳なさそうな声を出していた。
「色々とありがとうございます。今回の結婚式も、結婚パーティも親としては感謝の気持ちしかありません。新婚旅行も二人が楽しんでくれたらいいので、私たちは何も言うことはないです。里桜が日本に帰ってきてからの土産話を楽しみにしています。それでは篠崎さんと里桜のことをよろしくお願いします」
「もちろんです。お気をつけて日本までお戻りください」
お兄ちゃんは里桜ちゃんのご両親と話を終わらせると、私の方を見つめた。そして、一度目を伏せてから、もう一度私の瞳をしっかりと見つめた。
「雅。頼む」
「わかった。大丈夫よ。日本に着いたら連絡する」
そういうと、私はお兄ちゃんを一人ローマの空港に残して、飛行機に搭乗することになった。振り返るとお兄ちゃんは私を見つめている。そして、私を見て、頷いた。