君をひたすら傷つけて
「どうしたの?今日はオフよね」

「うん。なんだか落ち着かなくて…。それとお土産持ってきた。時間もなかったから、そんなにいいものでもないけど」

 お土産の入った袋を渡すと、まりえはニッコリと笑いながら、中から包みを取り出した。

 私が買ってきたのはチョコレートだった。ヨーロッパのチョコレートは美味しいものが多く、まりえはチョコレートが好きだったから、チョコレートにして、エマにはワインだった。まりえにはトリュフ塩も買ってきた。料理が好きなまりえにはいいお土産だと思った。

「ありがとう。チョコも塩も嬉しいわ。それはそうと、篠崎さん審査委員特別賞受賞は凄いわね。これから忙しくなりそうね。受賞の後の結婚式だから盛り上がったでしょ」


 まりえの淹れてくれたカフェオレを飲んでいると仕事の話の流れから、イタリアでの結婚式の話になった。思い返すと、本当に真心と優しさに溢れた結婚式だった。

「新婦の里桜ちゃんは本当に可愛らしくて……。里桜ちゃんを見つめる篠崎さんは幸せそうで童話の中のワンシーンのようだったの。結婚式も結婚パーティも少人数で温かい空気に包まれていたわ。教会も綺麗だったし、音楽を奏でるパイプオルガンも素敵だった。結婚写真は神崎くんで、ビデオ撮影は橘聖よ。リズがスタイリングでしょ。
 結婚パーティも料理は美味しいし、ワインも美味しいし。新郎新婦は幸せそうだったし、素敵な時間だった」

「聞いているだけで素敵な情景が浮かんでくるわ。橘聖が結婚式のビデオって凄いわ。どんな出来栄えなのか見てみたい。篠崎さんの撮影の映像を見たけど、ワンシーンに拘る人だから、どんな出来になることやら」

「そうよね。多分、そのうち見れるとは思うけど……」

「そんな素敵な結婚式だったのに、なんで雅はそんなに浮かない顔をしているの?」
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