君をひたすら傷つけて
 エマが直帰するというので、冷蔵庫の中にワインを入れると、エマの机にメモを残して、マンションに帰ることにした。まりえはもう一度誘ってくれたけど、マンションに戻って少し寝ようと思った。お兄ちゃんは遅くなるか、外泊ならゆっくり眠れるかもしれない。

「じゃあ、またね。旦那も雅に会いたかがっているから、そのうち遊びにきてね」

「ありがとう」

 私はマンションに戻ると、バスルームでシャワーを浴びてから、何も食べる気にならずそのままベッドに入って目を閉じた。そして、昨日、寝れなかった分を補うかのように私は眠り続けたのだった。

 起きたのは思ったよりも部屋の中が明るくなっていた。枕元の携帯にはメールの着信の知らせが来ていて、差出人はお兄ちゃんからだった。

 お兄ちゃんは仕事柄、外泊をすることも多い。でも、朝からメールが来ることはなかったから、何があったのだろうかと思った。仕事のメールかと思ったけど、それは違っていた。

『おはよう。雅。悪いが、空港まで里桜さんを迎えにきてくれないだろうか?どこからか、今日海が帰国することがマスコミに漏れていて、空港は人だかりになると思う。海のマンションもマスコミがいるかもしれないから』

 寝室から出て、リビングに行くと、私が昨日寝る前と一緒の光景が広がっていて、お兄ちゃんは遅くなるとは言っていたけど、マンションに戻ってきた様子はなく、外泊したようだった。

『いいわ。時間が分かったら連絡して』

 用件だけのメールを返すと、すぐにお兄ちゃんから返信があった。
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