君をひたすら傷つけて
 それは私も心のどこかに引っかかっていた。もしも本当に父親の仕事だとするならば一緒に卒業出来たと思う。それにたった二か月なんてありえないと思っていた。もう自由登校も始まっているのに、それなら卒業まで一緒でも可笑しくない。


「藤堂さんの学校に転校して最初は二か月だという話だったろ。それが義哉の体力の限界だった。義哉の最後の希望で父親の知り合いの高校に編入させて貰った。ずっと普通の学生生活を送りたいと言っていたんだ。主治医も時期的にも自由登校になるのも見越していたんだ。義哉は周りの人に知られずに学校を去るつもりだった。でも、君に出会ってしまった。義哉のために頼む」

 
 お兄さんの話を聞きながら私は涙を零していた。あの日、倒れてしまった日の様子、見た目は大丈夫そうなのにいつまで経っても学校に来ないこと。全てを繋げば分かるはずだったのに私はそのことを考えたくなかった。



 これは残酷な真実。お兄さんの話が真実なら高取くんには時間が残ってない。ニケ月というのは彼に残された自由な時間でそれも半分は終わってしまった。嘘であって欲しいと思うけど、信じたくないけど私は理解してしまった。

 高取くんは死んでしまい、私の前から姿を消すのも時間の問題なのかもしれないでも、割り切れない思いが私にはあった。傷ついても私は最後の時間まで一緒に居たかった。

「好きなんです」

「え?」
 
「高取くんが好きです。もしも、高取くんに時間がないなら…私は最後の最後まで一緒に時間を過ごしたい。それは許されないことですか?」
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