君をひたすら傷つけて
「許すとか許さないとかではなく傷つく。義哉だけでなく藤堂さんも傷がつくよ。人を失う痛みは高校生の君には重すぎる。今ならまだ間に合う。義哉は予定通りに転校していったと思ってくれ。実際に近いうちに病院を移り、ここからいなくなる。だから、藤堂さんのために義哉のことを忘れて欲しい」

 想像以上のことだった。体調が悪いというのはなんとなく想像していた。でも、まさか命に係わることまでとは思いもしなかった。それだって当たって欲しくないと何度思ったことだろうか?でも、甘くはなかった。

 お兄さんは優しい人だった。自分が悪者になってでも高取くんと私を守ろうとしてくれている。でも、私はもう引けないところまできていた。


「最後の最後まで手を握っていたいと思うことはいけないことですか?苦しむ高取くんの傍にいるのは辛いかもしれないです。でも、それでも残された時間を一緒に居たいと思うんです。だから、私はずっと高取くんの傍に居ます」

「自分の言っている意味は分かっているの?」

「はい。それでも傍に居たいんです」

「君は馬鹿だよ。本当に」

「馬鹿でも何でもいいんです。一緒に居たい」


 強い意思を持ってお兄さんの瞳を見つめた。涙で視界が歪んでいくけど私はお兄さんの瞳を見つめた。


「明日も来ます。明後日も…。最後の最後まで」
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