君をひたすら傷つけて
 今日だけでなく明日も明後日ももしもその先に高取くんの最後の日があるなら、その日まで私は高取くんの傍に居たいと思った。それは私の中の恋のなせる業なのかもしれない。

「分かった。応援は出来ないけどなんかあったら言ってきて欲しい」

 私の覚悟をお兄さんは認めてくれた。認めたというよりは引かない私に諦めたのかもしれない。でも、そのお兄さんのたった息を吐いたような一言が私を後押ししてくれる。お兄さんは引き返せると思っていたかもしれないけど、私の心は引き返せないところまで来ていた。好きという気持ちは簡単に捨てられるものでも忘れられるものでもない。


 私のの痛みは今から始まる。どんなに傷ついても自分の決めたことだから受け止めると覚悟をするしかない。


「高取くんのお兄さん」

「ん?なに?」

「ありがとうございます。高取くんのことを隠さずに教えてくれて、それと私のことも心配してくれているから、こんな風に言ってくれるんですよね」


「…。ああ。そうだよ。藤堂さんも義哉だけでなく、私にとっても大事だから傷つけたくないと思うよ」


 救われた気がした。高取くんのことは衝撃が今も心を揺らしている。その中で私の恋を見守ってくれる人がいるということがどれだけ心強いことだろう。私は傷つき涙を流すかもしれない。でも、私なりに頑張ったことを高取くんのお兄さんは見ていてくれるような気がした。
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