君をひたすら傷つけて
 私が色々な服の中から選んだのは綺麗な若草色のシャツに濃紺のインナー。明るい色合いはお兄ちゃんが着ているのを見たことが無い。でも、インナーに紺を使っているから、抵抗感も少ないだろう。

「これにするわ。たまには明るい色の服を着ると気持ちが和らぐと思うわ。でも、私が服を買ったことがないから驚きそう」

 私が渡した時にどんな顔をするのか想像したら、つい、笑ってしまう。お兄ちゃんのことだから、要らないとは言わないと思うけど、こんな明るい色のシャツを着るお兄ちゃんは想像できない。いつも着ているような白のワイシャツや水色のシャツとは違う若草色のシャツはどう見てもオフモードだった。

 マンションではスウェットを着ているし、ラフな格好をしている。でも、外に出る時はスーツが殆どで、買い物に行く時でさえも、あまり冒険するような服は着ない。白のシャツに紺のズボンのような服が多い。

 見たことはないけど、クローゼットの中に明るい色はないだろう。明るい若草色を選びながら、それを身に着けるお兄ちゃんを想像した。

 本来の優しさが溢れるようになる気がする。

 喜んでくれるだろうか??

 里桜ちゃんは水色の爽やかなシャツを篠崎さんにプレゼントするようだったので、私はそのシャツに合わせた里桜ちゃんの服を選んでみた。小物だけを買うつもりだったのに、服も靴も選ぶと思ったよりも大きな荷物になってしまった。

 
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