イケメンすぎてドン引き!







「ん、いいよ。確かお前、二次方程式解けないレベルなんでしょ?」



「あ、あれ、あたしそんなこと言いましたっけ?」



「ちょうど俺も1、2年の範囲復習したかったし」



次の日の朝、吉野先輩の姿を見かけたため、数学の件をお願いしてみると、

意外とあっさり引きうけてくれた。



でも……。



「お前、俺と2人でいるとこ見られない方がいいよな。図書室とかはやめとくか」



「市民センター? あ、あそこ他校の人もいるんで、いっつも混んでますよ~」



「んー最近、ファミレスで勉強注意されるヤツ多いらしいし」



「え、あたしの家ですか? すみません汚すぎて無理です~!」



「じゃあ……」



でも、でも。



――これ本当ヤバイっす!



「そこ、解の公式にあてはめて」



「は、はいっ!」



先輩の囁くようなイケボが、耳の近くで発される。



「ルートの中、bは二乗だろ。お前、公式くらいさっさと覚えろよ」



「うぅ……」



だめだだめだ集中できない!



部屋の真ん中にある白い机。



机の角を隔ててあたしと先輩がいて、


その上には問題集やプリントが広げられている。



まわりには漫画やCDが綺麗に並べられた棚。



すぐ後ろにあるベッドの上にはグレーの薄い布団と、3DSが置かれている。



お香の爽やかな香りが漂う、


この2人きりの密室空間。



「何ボーっとしてんの。マジで夏休み無くなるぞ」



「はいぃぃぃ」



無理無理無理無理ぃ!



だってここ、パイセンのお部屋ーーーーー!!!!




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