イケメンすぎてドン引き!
☆
「ごめんなさいっ! あの、好きって言ってもらえて、すごい嬉しかったんだけど……」
「…………」
「気持ちには答えられないです。本当に……ごめん、ごめんね……っ」
足元の砂利にぽたり、ぽたりと涙の粒が落ちていく。
あたしが泣くのは最低なのは分かっている。
でも、止まらなかった。
想いを伝えてくれた人に応えられないことが、こんなにも苦しいとは。
こんなしょうもないあたしのことを考えてくれていた時間を全部、巻き戻してあげたい。
あたしたち以外は誰もいない、自転車置き場奥の倉庫前。
胸が痛くて、もう、とけてなくなってしまいたい気分だ。
もういっそ、汚物くせに調子に乗るな! とののしりながら、あたしに塩をまいてくれよ!
ビンタでもアッパーでもいいし、ハンドボールの全力でのジャンプシュートを当ててもらってもかまいません!(これ怖そう……)
そう覚悟を決め歯を喰いしばった時。
ようやく目の前のもう1つの影がゆっくり動いた。
スニーカーと砂利がこすれる音が鳴る。
「はい……。そうですよね。あーもっと早くオブチさんと仲良くなっとけばよかったー」
「え?」
「俺がうだうだしてただけですし。さすがに吉野先輩じゃ、俺……絶対勝ち目ないですよ」
明るい声でそう言うノリ坊を、涙をぬぐいながら見上げる。
「あ、えーと……」
「はーやっとすっきりしました。って、オブチさんが泣かないでくださいよ~」
ノリ坊はどこか清々しいような表情になっていて、
でも、あたしに触れようとした後、すぐ手を引っ込めた。
ごくりと唾を飲むたびに体の中に苦みが広がっていく。