イケメンすぎてドン引き!
最低だよ……泣きたいのはノリ坊の方だよねきっと。
しかし、感情があふれ出してしまう。
「ごめんね、本当にごめん、こんなあたしなんかを……。本当にごめんなさい! ごめん、ごめんねぇーーーー!」
「そんな謝らないでくださいよ……。でもオブチさんのそういうとこ好きです」
「へっ?」
今、すごいブサイクな顔になっているだろうけど、ノリ坊を見つめてしまっていた。
重なり合う緑の葉っぱが、風によって擦れ合う。
その心地の良い音が、その言葉とともに心を揺さぶっていった。
「俺。けっこう計算高いとこあって、そこが自分の嫌な部分だったりするんですけど。
オブチさん見てると、本来の自分でいれるっていうか。ちょっとずるしてやろうとか、誰かを出し抜いてやろうとか、そういうこと考えないでいられるんです」
「…………」
「あたしなんか、とか言わないで、もっと自信持ってくださいよ。オブチさんはオブチさんで十分魅力的ですから」
「ばかばかばか! そういうことさらっと言わないでよ。ううぅ~。
本当にごめんね、じゃなくて。ありがとう……ありがとうっ、ありがとう。ありがとう! 本当にありがとう。ありがとうぅーーー!!」
枯れ果てた土地に恵みの雨が降ったかのように、感謝を伝え続けしまうあたし。
「ごめんなさい、あはは、俺も今泣きそうなんですけど。やっぱりオブチさん面白いです。ずるすぎ」
対して、困ったような目をしながらも、はにかんだ笑顔を浮かべてくれるノリ坊。
そんな彼の仕草に再び胸がつんと痛んだ。
「じゃ、俺行きますね」
そう言って、ノリ坊はあたしの前から走り去っていった。
あたしは引き続き、頭の中でありがとうと叫び続けていた。