イケメンすぎてドン引き!
「よしよし。あとは吉野先輩だね。行ってらっしゃい!」
「う~。ちょっと納得いかないけど……でもありがとう!」
あたしはミーちゃん&ヒロキ氏カップルに見送られながら、3年生の教室の並びに向かって走った。
今なら勢いのままで伝えられそうな気がする。
この前先輩の妹さんから、先輩の昔の話を聞いて、改めて思った。
やっぱりあたし、先輩の近くにいるべきだ。
いや、先輩の近くにいたい。
先輩はきっと不安なんだ。
見た目がスーパーイケメンだったせいで、転校後、もともとの彼自身を否定されてしまって。
イケメンのイメージをくずさないように、性格や態度、成績などのステータスも全部、みんなが求めるようなイケメンになってしまった。
そして、今日は大丈夫だったかな、嫌われるようなことしてないかな、と家に帰っては1人反省会をする毎日。
はぁ、本当めんどくさい性格してますね。
だから――
あたしの前だけでは、
先輩も先輩のままで、カッコ悪い部分やしょーもない部分もさらけ出して、
やりたいように生きていてもらいたい。
別に反省会なんかしなくていいんだよ。
もっと楽になっていいんだよ。
いろんな部分があるとこ、全部ひっくるめて、
あたしは先輩自身が好きなんだよ。
早くちゃんと自分の気持ちを伝えて、
先輩は先輩のままでここに存在していいことを彼に分からせてあげないと。