イケメンすぎてドン引き!







「吉野先輩!」



ちょうど3年5組から出てくる吉野先輩の姿を発見し、あたしは声をかけた。



「ん?」



先輩は軽く口角を上げて、あたしに流し目を向ける。


その表情、声は相変わらずのイケメンモード。



う……相変わらずカッコ良い。バラが散っているよう。



「ちょっと今、いいですか?」


「ん? 委員会の用?」


「違いますけど……」


「そっか。じゃ後ででいい? 用事があるから」



そう言って、先輩は廊下の先へと向かっていった。



一瞬、体が固まってしまったけど、


ほっぺを叩き不安な気持ちを振り払ってから、あたしはその後姿を追いかけた。



「じゃ、終わるまで待っててもいいですか?」


「んー。ちょっと時間かかるし、またでいいかな?」



先輩はあたしを横目で見てから、階段を下っていく。


その表情は、全く崩れていない。



あたしは負けずにばたばたと足を動かし、彼の隣に追いついた。



「明日の朝はどうですか?」


「んー。朝は自習してるんだよね」


「じゃあ先輩の空いてる時間に合わせますから!」


「ごめん。俺急いでるし、後ででいいかな? じゃあね」



先輩は爽やかにそう言って、微笑んだ後、すたすたと階段を下っていった。





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