イケメンすぎてドン引き!
☆
「吉野先輩!」
ちょうど3年5組から出てくる吉野先輩の姿を発見し、あたしは声をかけた。
「ん?」
先輩は軽く口角を上げて、あたしに流し目を向ける。
その表情、声は相変わらずのイケメンモード。
う……相変わらずカッコ良い。バラが散っているよう。
「ちょっと今、いいですか?」
「ん? 委員会の用?」
「違いますけど……」
「そっか。じゃ後ででいい? 用事があるから」
そう言って、先輩は廊下の先へと向かっていった。
一瞬、体が固まってしまったけど、
ほっぺを叩き不安な気持ちを振り払ってから、あたしはその後姿を追いかけた。
「じゃ、終わるまで待っててもいいですか?」
「んー。ちょっと時間かかるし、またでいいかな?」
先輩はあたしを横目で見てから、階段を下っていく。
その表情は、全く崩れていない。
あたしは負けずにばたばたと足を動かし、彼の隣に追いついた。
「明日の朝はどうですか?」
「んー。朝は自習してるんだよね」
「じゃあ先輩の空いてる時間に合わせますから!」
「ごめん。俺急いでるし、後ででいいかな? じゃあね」
先輩は爽やかにそう言って、微笑んだ後、すたすたと階段を下っていった。