イケメンすぎてドン引き!
しばらく、テレビや学校のことなど世間話をしながら作業を続け、
プリントは残り半分くらい。
「モモカちゃん、このまま終わっちゃうよー。次の作戦いこーよ」
生徒呼び出しの校内放送が流れている間に、
こそこそっとスミスさんがあたしに耳打ちをした。
えーと、次は……。
そうだ! これならどうだ!
「そういえば、最近、あたしのクラスで早口言葉が流行ってるんですよ。
なまむぎなまごめなまたまご!」
「おー、モモカちゃんすごーい! でもオレも結構いけるよ!
なまむぎなまごめなまたまご! よっしゃできた~!」
あたしとスミスさんの息はぴったりだ。
もうあたしたち付き合ってもいいんじゃね? ってくらい。
「吉野先輩もやりましょーよ!」
あたしは胡散臭さ100%の笑顔でそう先輩に話しかけた。
『あれ、先輩今噛みましたよね? 噛みましたよね?』
『てめぇ、踏み潰すぞ。そのブサイクな顔、つぶして2次元にしてやんよ!』
いつぞや、難しい言葉をカミまくっていた先輩を思い出す。
さぁ、唱えるがいい。そして噛みやがれ。
思いっきりバカにしてやろーではないか!
だがしかし。
「なまむげなまもげなまむめも!
あー俺全然だめだわ~! 2人ともすごいねー!」
再び後光を浴び、てへへと頭をかきながら、照れ笑いをするイケメンがそこに……。
――ドキン!
くはっ、なまむげもなまもげも、もうどうでもいい!
先輩、その表情、きゅんとします。
あああイケメンすぎるーーーー!
ぼーっとその顔を見つめていると、
スミスさんに小声で「帰っておいでー」と言われ、我にかえった。
結局、エモーショナル吉野パイセン召喚大作戦は再びふりだしに戻ってしまった。
がっかりしたが、次はヤツが仕掛けてくれた。