イケメンすぎてドン引き!


「オレ、喉渇いてきちゃったな~」



プリントを重ね合わせながら、スミスさんがそうつぶやいた。



ほ! これは、きっと!



「確かに、集中してたら疲れてきましたね~。あたし買ってきますよ?」



「いいよいいよ、モモカちゃんには手伝ってもらってるんだから! むしろおごってあげたいくらいだし~!」



「いえいえ! だってあたし後輩じゃないっすかぁ。ゲホゲホッ。あーすみません、喉がカラカラで~。ゲホゲホ!」


そう言いながら、ちらりと吉野先輩を見る。



ぴくり、とまゆ毛が動き、あたしを一瞬だけにらみつけた。



おっ、いい感じじゃん?


汚物のくせに俺をパシりにするなど100万年早いわ! という先輩の心の怒鳴り声が聞こえてくるぞー。



「じゃーオレが行ってくるよ! ……痛っ! あー今日体育でちょっと足ひねったんだったぁ~」


スミスさんは立ち上がったが、ガタンと椅子を鳴らし、ふらりと体をよろけさせる。


「わー大丈夫ですかぁ?」


スミスさんを心配するふりをしながらも、再び吉野先輩をチラ見する。



すると、


「じゃあ、スミスは待ってて。オブチさん一緒に自販に行こうよ」


と先輩はにこっと笑い、あたしを誘ってきた。



いやいやだめだめ!


これ完全にお説教タイム、確定じゃん!


何たくらんでるんだよ、この汚物が。ファブ○ーズぶっかけるぞ! 的なこと言われるに決まってる!


やばい! 逃げねば!



「あ、すんません、あたしトイレ! 吉野先輩~あたしいちごミルクでお願いしますー!」



そう言って、あたしは女子トイレにダッシュした。



結局、吉野先輩をパシらせてしまったため、おそらくお説教は確定でしょう。


とほほ……。



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