イケメンすぎてドン引き!
吉野先輩が廊下の奥に消えたのを見計らって、3年5組の教室へ戻った。
さて、やっとハーフタイム。
作戦の建て直ししなければ!
空机の間を進み、スミスさんのもとへ向かう。
「んー中々手ごわいですねー。普段はもっと沸点低いのにー」
そうスミスさんに話しかけてみたけど、
「さっき、モモカちゃん吉野クンに超見とれてたでしょ~。オレちょっと嫉妬中~」
と、彼は口をとがらせ、上目遣いであたしを見つめてきた。
んぐっ、と喉が鳴る。
か、可愛いぞ……。まるで駄々をこねる子どものよう。
「は? べ、べ、べべ別に? そういうわけ……じゃ」
ん? でも何でスミスさんが嫉妬するの?
確かにスミスさんもイケメンだ。
もしかして吉野先輩にライバル意識持ってるとか?
夕日が差し込む教室に、あたしとスミスさんの2人きり。
空っぽの机と椅子の間、あたしたちは隣り合わせに座っている。
目の前にはプリントが散乱してるけど。
「あ、あの……」
こういうシチュエーションに慣れていないあたしは、変に心臓がドキドキしていくことを感じた。
しかも、スミスさんは、くりっくりの大きな目であたしを見つめ続けている。
ちらっとその顔を見てみた、が、
刺激が強すぎたため、必死に目をそらした。
だって、まつげ長い、肌キレイ、目大きい、可愛い!
やばい、無駄にドキドキしちゃう!
「……オレ、たぶんだけど吉野クンの本性スイッチ押せる方法、思いついた」
――ん?
あたしが顔を上げると、スミスさんは
0円じゃ絶対買えないような超魅力的なスマイルでこう言った。
「モモカちゃん、ちょっといやらしい声出してみよっか」
――What?