イケメンすぎてドン引き!
「う~~~~~っ!」
吉野先輩はいたたまれなくなったのか、再び空机にぶつかりながら、
ダッ! と超ダッシュで教室から走り去ってしまった。
びっくりして、床にへたったまま、
遠ざかっていく足音をぼけっと聞いていると。
「ふふっ……」
――ふふっ?
「あははははは! やべー、やっぱ吉野クン超最高~!」
教室内に突然笑い声が響きわたる。
顔を上げると、腹を抱えて大爆笑している、スミスさんの姿があった。
ちょ、笑うとこですか? ここ!
でもスミスさん、素の吉野先輩を見るという目的は達成できたのか。
「……モモカちゃん」
再び教室に2人きりになる。
あたしは思わず、胸の前で両腕をクロスさせ、身を守るポーズをとった。
「ごめんね。さっきの、嫌だったよね?」
あたしの刺すような視線をものともせず、
スミスさんは優しい表情になり、しゃがんで同じ目線になってくれた。
「……う。その……あの……」
「モモカちゃん、さっき、自分のことモテないとか平凡とかクズとか言ってたけど。十分、魅力的だから。だから、間違えてちょっとだけ本気になっちゃったの。ごめんね」
目の前のスミスさんから、心地の良いトーンの声が発される。
ぐぐぐ……と言葉に詰まるあたし。
「じゃあ、プリントはあとオレがやっとくし。モモカちゃん色々ありがとね。最後のお願い。今からオレが言うこと、吉野クンに伝えてきてくれない?」
そう言って、スミスさんは立ち上がり、
腕まくりをして、倒れされた机とプリントの山に目を向けた。