あなたと恋の始め方①
 小林さんはそこまで言うとクスクス笑い出した。折戸さんのメールの内容が分かったのだろう。あの途轍もない『過保護メール』はどう表現したらいいのだろうかとさえ思う。今、小林さんはクスクス笑っているけど、私が貰ったメールを見れば、そんな笑いは吹き飛び、一気に血の気が引くと思う。


 メールを見た私が卒倒しそうになったのを小林さんは知らない。


「エスカレートしている?」


「はい。とっても。この頃は父親のようになってます。実の父親よりも厳しいですね。細かいというか。それにいらないことも書いてきます」


「いらないこと?」



 つい、言ってしまって、失敗したと思った。小林さんには言わなくてもいいことを言ってしまった。



 折戸さんが一番書き込んでくる困ったことは小林さんのこと。あまりにも進展しない私と小林さんの関係にありがたい助言をしてくれる。


『酔っ払って、帰りたくないと言ってみろ。』

『自分から抱きついてキスでもすれば、いいのではないか?』

『いっそのこと襲ってみれば?』



 なんて私には出来ない芸当を指南してくれる。応援してくれるのはいいけど、人にはレベルがあるというのをいい加減に学んで欲しい。一緒に居られるだけで幸せなのに…。それを折戸さんは分かってくれない。



「たいしたことじゃないですよ。仕事のこととかです。あとは色々です」


「そっか。折戸さんは仕事熱心だからな。」


「はい。」


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