あなたと恋の始め方①
「じゃあ、寿司にしようかな。焼肉は蒼空とも行けるから、今日は俺と少しオトナのデートをしよう。たまには頑張っていいところを見せないと美羽ちゃんに惚れて貰わないといけないからね」


 折戸さんはイジワルだ。少し落ち着き掛けたのにまたドキドキが加速する。綺麗過ぎる男の人は自分の言動に責任を持って欲しい。そんなことを心の中で呟く私がいる。『オトナのデート』って…。それに今以上に魅力を振りまかれたら…。私は心臓がパンクしてしまう。落ち着かせようと軽く深呼吸するとそれを見計らったかのように折戸さんはニッコリと微笑んだ。


「美羽ちゃん。これはデートだから」


 追い討ちを掛けてくる。魅惑的な微笑みを浮かべ、そして、何事もなかったかのように画面に視線を移すと、真剣な表情で向かう。それにしても仕事している人は何でこんなに魅力的なんだろう。私が仕事をすることが好きだからかもしれないけど、特に魅力を感じる。


 姿形が格好いいとかではなく、仕事に真摯な姿はとても魅力的。それなのに、その二つともを兼ね備えた折戸さんは最強かもしれない。暫くしてパソコンを閉じた折戸さんは満足そうに私の方をニッコリと見つめた。仕事は終わったようで、自分が思い描いた通りに報告書が進んだのだと思った。


「お待ちどうさま」

「いえ」

「じゃあ、行こうか?」

「はい」


 カフェを出ると、さっきよりも少しだけ夜の濃度が増したかのように、次第に大人の時間に近付いている気がした。駅前だから人は多いけど、さっきは学生とかもいたけど、今の時間は仕事帰りの会社員の方が多く感じた。


「どこにいくんですか?」


「俺のおすすめの店」

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