あなたと恋の始め方①
「お待ちしてました。カウンターがよろしいですか?それとも奥にしますか?今日は奥も空いてますよ」
この店の長いカウンターの奥には濃紺の暖簾が掛かっていて、あの奥には座敷があるのだろう。それにしてもこの雰囲気は場違いだ。私と折戸さん以外のお客さんはどう見ても裕福そうな人ばかり。今日は取締役の来所があるからと久しぶりにスーツを着ていてよかったと心から思った。さすがにこの店にいつものような格好では来られない。
「カウンターでいい?」
「はい」
藤色の着物の女性に案内されて座ったのは真ん中よりも少し奥のカウンター席で私の真横に折戸さんが座った。そして、その前には職人さんが立ち、私が緊張しているのを気付いているのかニッコリと優しく微笑んでくれた。緊張している私とは違って、折戸さんはいつも通りの様子。こういう店も似合うとと思ってしまった。
「何から食べようか?」
折戸さんがそういうと、私は店内を見回したガラスケースにはたくさんの新鮮なネタが並んでいるけど、壁を見ても手元にも値段表もメニューもない。真っ白な糊の効いた仕事着を着た職人さんは柔らかい笑顔を浮かべていたが、芯の強さは見て取れた。本格的な寿司を食べさせるこの店は私を緊張させる。
「お好みで言ってください」
私の緊張を少しでも和らげようとする声にまたドキッとする。さすがに『並』とかはないのだろう。横を見ると折戸さんは私の方を見ていて、ニッコリ笑う。私が焦っているのに気付いたみたいだった。
「お勧めは?」
「そうですね。コハダもいいのが入ってますし、平目もおすすめです」
この店の長いカウンターの奥には濃紺の暖簾が掛かっていて、あの奥には座敷があるのだろう。それにしてもこの雰囲気は場違いだ。私と折戸さん以外のお客さんはどう見ても裕福そうな人ばかり。今日は取締役の来所があるからと久しぶりにスーツを着ていてよかったと心から思った。さすがにこの店にいつものような格好では来られない。
「カウンターでいい?」
「はい」
藤色の着物の女性に案内されて座ったのは真ん中よりも少し奥のカウンター席で私の真横に折戸さんが座った。そして、その前には職人さんが立ち、私が緊張しているのを気付いているのかニッコリと優しく微笑んでくれた。緊張している私とは違って、折戸さんはいつも通りの様子。こういう店も似合うとと思ってしまった。
「何から食べようか?」
折戸さんがそういうと、私は店内を見回したガラスケースにはたくさんの新鮮なネタが並んでいるけど、壁を見ても手元にも値段表もメニューもない。真っ白な糊の効いた仕事着を着た職人さんは柔らかい笑顔を浮かべていたが、芯の強さは見て取れた。本格的な寿司を食べさせるこの店は私を緊張させる。
「お好みで言ってください」
私の緊張を少しでも和らげようとする声にまたドキッとする。さすがに『並』とかはないのだろう。横を見ると折戸さんは私の方を見ていて、ニッコリ笑う。私が焦っているのに気付いたみたいだった。
「お勧めは?」
「そうですね。コハダもいいのが入ってますし、平目もおすすめです」