あなたと恋の始め方①
「それはよかった。美羽ちゃんに食べさせたかった。今日は入れてよかったよ」


 入れてよかったという折戸さんの言葉を聞きながらさっきまでの私の疑問が浮上する。いつどのタイミングで折戸さんは予約をしたのだろう。


「でも、いつ予約したのですか?お寿司を食べるって決めてからすぐ来たのに予約が出来ていて驚きました」


「ここには何回か来たことあるし、美羽ちゃんに会う前に席が空いているかどうか先に一度電話しておいて、美羽ちゃんが来てから、パソコンから連絡した。ここだけは先に連絡しないと」


 パソコンで予約をするというのは思い浮かばなかった。今は多くの店でインターネットで予約をする。でも、こんな隠れ家的な店でネット予約が出来るというのにも驚いた。口コミサイトとかに上がれば名前くらいは知っていそうだけど私はこの店の存在を知らなかった。


 東京北研究所に居た時と違って、今の私は静岡研究所の女の子と一緒に食事をしたり、お茶をしたりすることもある。だから、行ったことはないけど聞いたことある店はある。でも、その女の子の話にもこの店は出て来てない。


「ここは寿司を楽しんで貰えるお客様だけにお越しいただければいいので、決まった方のみインターネットでの予約を受け付けているんですよ。折戸さんは私達の思いを楽しんで下さるお客様ですので」


 店が客を選ぶというのは聞いたことがある。この店はまさにそうだった。自分の技術に自信がないとこんなことは出来ないだろう。実際に今まで食べた中で一番の美味しさだった。
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