あなたと恋の始め方①
 私は携帯を取り出すのを折戸さんは穏やかに見つめている。そんな優しい視線を感じながら、携帯の画面には小林さんの名前が映り、私は通話ボタンを押した。すると、折戸さんは私の傍から少し離れていった。私が小林さんと話しやすいようにとの事だとわかる。そういう心遣いが出来るのが折戸さんで仕事の面でも細やかな心遣いが出来るからこその実績だった。


 電話は通話ボタンを押したと同時に繋がったような気がする。ワンコールもしてない。


『美羽ちゃん。』


 耳元に届く優しい声は大好きな小林さんの声。声を聞くだけでドキッとするからやっぱり私は小林さんに恋をしているのだと思う。自分の中で何かが緩むのを感じる。


『小林さん。すみません。今から迎えに来て貰えますか?』


『電話ありがとう。で、どこに行ったらいい?』


 どう説明したらいいのだろう。さっきの店からは近いけど、駅からは少し離れているし、それに大通りから入っているので説明しにくかった。見回して目印になりそうなものを探すけど、そんなのは無くて困ってしまう。


『場所は…。えっと、あの、私が大通りまで出てきます』


 すると、横から、スッと手を伸ばした折戸さんが私の携帯を取ると穏やかな声を出した。私が説明できないのに気付いて戻ってくれたのだと思った。


『蒼空。俺だ。店は【after 2】だ。知っているだろ。前に高見主任と一緒に行った場所だよ。…ああ。大丈夫。しっかりしているから。お前が迎えに来るまで、中で飲んでいるから、着いたら連絡しろ』


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