あなたと恋の始め方①
 小林さんは本社営業一課からの転勤ということで、静岡支社だけではなく静岡研究所でも小林さんは名前が知られるのに時間は掛からなかった。


 新人の時から高見主任と折戸さんによって英才教育を施された小林さんは仕事が格段に出来る。小林さんの仕事を見ていると、その後ろに高見主任と折戸さんが透けて見える。それほど、小林さんの仕事振りはあの二人に影響されている。



 営業成績は営業一課では普通だったけど、静岡支社では格段に優れているらしい。難しいと言われた取引先もいくつも新しい顧客にして、既存の先だけでなく新規開拓にも優れている。そんな話が私のいる静岡研究所まで届いてくるのだから、凄いとしか言いようがない。

 
 仕事が出来るだけでも凄いのに、小林さんは格段に整った顔をしている。爽やかな微笑みは見ているだけでドキドキしてしまうし、それにとっても優しい。本社営業一課があまりにも個性的でそれでいて、端正な姿の社員の中にいたからそんなに目立つことはなかったけど、普通の人の中にいると小林さんは光り輝く。


 そんな素敵な人に私は恋をしている。



「何ぼーっとしているの?美羽ちゃんは何か他の頼む?」


「折戸さんが帰ってくるのですね」


 小林さんはしょうがないなって顔をしながら私を見つめる。その顔は優しさに包まれていた。



「折戸さんのことを考えてたの?」


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