あなたと恋の始め方①
 こんな風にわざわざ迎えに来てくれたことを嬉しく思うと同時に、私の中で小林さんがもしかしたらまだ私のことを思ってくれているのではないかと期待する。あの空港から一年以上も経っているし、東京と静岡で離れていた時期もあったから気持ちが変わっていても仕方ないとも思う。


「あの、迎えに来てくれてありがとうございます。嬉しかったです」


「うん。俺が迎えに来たかっただけだから気にしないで、それより折戸さんと食事楽しかった?」


「そうですね。楽しかったです。フランスでの生活の事とか聞くと日本と違うと思いました」


「そっか」


 折戸さんと別れて二人になって駐車場までの道を歩いていると、小林さんがいつもと感じが違うのに気付いた。何が違うのか分からないけど、何かが違う。私服を着ているせいかと思ったけど、そうでもない。だって、何度か休みの日に買い物とかに行ったこともあるから私服が見慣れてないわけでもない。


 でも、何かが違う。少し前を歩く小林さんは何か考えているのか、言葉数も少ない。それでも、歩くスピードは遅くなっていて、私の歩くスピードに合わせてくれていた。


 小林さんの車は大通りを抜けたところにあって、折戸さんと一緒に飲んでいた店から少し離れていた。ここから小林さんは急いできてくれたのだろう。


「小林さん。」

「ん?」

「フランス留学ってどう思いますか?」



 私がそう言ったのは駐車場に止めてある小林さんが車に乗り込もうとした時だった。お酒の勢いがなければこんな風に聞けなかった。

< 146 / 403 >

この作品をシェア

pagetop