あなたと恋の始め方①
 でも、それは折戸さんにしろ、小林さんにしろ理解はして貰えないらしい。


「でも、全くないことはないんだよね。それは駄目。過保護と言われるかもしれないけどそこは折戸さんの言うとおりにして。だって、女の子が研究所に泊まるとか有り得ないよ。っていうか帰れないなら、電話してくれれば車で迎えに来る」


 そんな事、言われても…。


 研究に没頭しすぎて、終電に乗り遅れたのでタクシーで帰ってもまたすぐに研究所に戻って来ないといけないから、帰るのが面倒になって仮眠室に泊まっただけなのに、まさかこんなに反応するとは思わなかった。まあ、一回二回じゃないけど…。そんなことは恐ろしくて言えない。


 でも、終電に乗り遅れた時間に連絡して迎えに来てもらうなんて出来ない。


「でも、もう寝てるかもしれないし」


「美羽ちゃんが研究所に泊まるくらいなら、俺は起こされた方が絶対にいい。…あ。俺。今、折戸さんの気持ちがよく判った気がする」


 そう言って額に手を当てて、フッと大きな溜め息を吐いた。そして、私の方に視線を投げる。そのいつもは優しい眼差しなのに、今は少しの鋭さを持っていて…。



「連絡すると約束して。絶対、研究所に泊まったら駄目」


「はい」


 そんな風に言われて頷かないわけにもいかない。


 本当に折戸さんも小林さんも過保護だと思う。でも、大事にされている気持ちは嬉しい。


 大好きな人に大事にされるって嬉しい。

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