あなたと恋の始め方①
 小林さんの身体が私を包むようにしているから、私は楽だけど、どう考えても小林さんは後ろからの圧力を一身に受けている。私がもう少し横に動けば少しは小林さんも楽になるはず。そう思って私が身体を少しずらそうとすると、小林さんの腕が私の身体をさっきよりも強く引き寄せたのだった。


「小林さん?」


 吃驚して見上げるとそこにあるのは小林さんの真剣な顔。


「離れないで。美羽ちゃんが他の男に触れていると思うと妬く」


「え」

 
 私が見上げると小林さんは少し困ったような顔をする。そして、視線を逸らした。そして、私の身体をさっきよりももっと強く抱き寄せた。


「俺から離れないで」


 妬く?
 小林さんが?


 そんな小林さんの気持ちが嬉しくて、でも、恥ずかしくて…。何も言えなくなってしまった。すると小林さんは私の耳元で少し息を吐いてから…。


「ごめん。俺の独占欲って酷いだろ」


 いつも優しくて楽しい人なのに、初めて見せる男の人の顔だった。そんな小林さんの表情を見ながらドキッとしながらも急に見せる男っぽさにまたドキッとしてしまった。



「嬉しいです。とっても」


 朝の満員電車で何を言ってるんだろう。
たまに朝からアツアツのカップルを見て、何をしているんだと思ったこともあった。でも、恋をすると周りが見えなくなるというのを実感した。


 今までの私では想像出来ないくらいに小林さんの魅せられていた。


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