あなたと恋の始め方①
それからしばらく小林さんは何も言わなかった。見上げると視線は絡むから小林さんは笑ってくれるけど、何も話してくれなくて…。時間だけが過ぎる。揺れる車両に抗うことなく私は小林さんに守られたまま身体を揺らす。さっきと同じように手摺りがあるわけではないから不安定なのは変わらないのに、傍に小林さんがいるだけでこんなにも私は安心する。
「美羽ちゃんはいつもこの電車?今まで会わなかったよね」
一駅を過ぎたくらいの時に小林さんはやっと私の方に話し掛けてきた。
「いえ、今日は少し早めに出たんです。久しぶりに朝カフェしようと思っていたけど、駅前のカフェが多くて入れなかったから研究室でコーヒーを飲もうかと思って電車に乗り込んだらこんなに満員で驚きました」
私がそういうと、小林さんは満面の笑みを浮かべていた。
「じゃあ、ラッキーだ」
「え?」
「俺は朝から美羽ちゃんに会えてラッキーだよ。電話で美羽ちゃんの声を聞いて会いたいと思っていた。だから、ラッキーだ」
そんな風に言われると本当に嬉しい。私も同じくらい。もしかしたらそれ以上に嬉しいと思っている。
「私も嬉しいです」
そういうと、小林さんは視線を逸らす。
「そんな顔で見上げないで」
「え」
小林さんは吐息が掛かるくらいに私の耳元に唇を寄せると、私だけに聞こえるように囁いた。
「キスしたくなる」
「美羽ちゃんはいつもこの電車?今まで会わなかったよね」
一駅を過ぎたくらいの時に小林さんはやっと私の方に話し掛けてきた。
「いえ、今日は少し早めに出たんです。久しぶりに朝カフェしようと思っていたけど、駅前のカフェが多くて入れなかったから研究室でコーヒーを飲もうかと思って電車に乗り込んだらこんなに満員で驚きました」
私がそういうと、小林さんは満面の笑みを浮かべていた。
「じゃあ、ラッキーだ」
「え?」
「俺は朝から美羽ちゃんに会えてラッキーだよ。電話で美羽ちゃんの声を聞いて会いたいと思っていた。だから、ラッキーだ」
そんな風に言われると本当に嬉しい。私も同じくらい。もしかしたらそれ以上に嬉しいと思っている。
「私も嬉しいです」
そういうと、小林さんは視線を逸らす。
「そんな顔で見上げないで」
「え」
小林さんは吐息が掛かるくらいに私の耳元に唇を寄せると、私だけに聞こえるように囁いた。
「キスしたくなる」