あなたと恋の始め方①
『小林さんお疲れ様です』


 電話の後ろが少しだけガヤガヤと煩いから既に静岡支社は出ているようだった。駅にいるのか、または駅に向かっているのか?早く仕事を終わらせてデートとは思っていたのに、研究に没頭しすぎて、研究以外を全て忘れていた。

 
 彼女?失格??


『うん。お疲れ様。美羽ちゃんはまだ研究所?』

『はい』


『頑張っているね。まだそこにいるの?』


『いえ、もうそろそろ帰ろうと思っています。終電には間に合います』


 私は研究所に泊まらないというのが大事な約束を忘れていない。終電は絶対に守る。まだ少しだけ時間もあるから大丈夫。今からバタバタと片付けたらそれで間に合うと思う。


『最終には乗れそう?』


『はい。勿論です。今から帰る準備をしてから出れば十分に間に合います』


『よかった。頑張る美羽ちゃんは好きだけど、身体は大事にして欲しい』


 そう、小林さんを心配させてはいけない。それにしても付き合いだして次の日なのに、せめてなんで21時くらいに気が付かなかったのだろう?朝会った時には絶対に定時くらいに研究を切り上げるつもりだったのに…。


 そうしたら、少しは小林さんに会えたのに…。


『ありがとうございます。あの、今日は仕事が早く終らなくてごめんなさい。それに連絡も遅くなってしまって』


『それはいいよ。美羽ちゃんの仕事が忙しいのは俺も分かっている。じゃあ、会社出たら電話して。近くで待っているから』


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