あなたと恋の始め方①
 私はこのままここにいると帰りたくなくなると思い、私は身体に力を込めて、助手席のドアを開けると、私は車から降りた。ヒンヤリとした夜の空気が私の身体を包む。寂しさがより一層強くなる。


 明日が仕事じゃなければよかったのにと思ってしまう私がいて、あんなにも仕事に夢中になっていた私なのに、こんなことを思うなんて自分勝手だと思う。


 朝に電車の中で夜に会えたらとか言っていたのに研究に没頭し過ぎて時間を忘れたのも、小林さんから迎えに来るという電話があったのに、仕事をもう少ししようかと思ったのも。


 全部…私。



「ありがとうございました。」


「うん。またね。マンションに入るのを確認してから帰るから」


「はい」

 
 はいと言ったものの、帰りたくない気持ちのまま、私は車から降りた。そして、頭を下げてからエントランスを抜けて振り向くと私が入ったのを確認したのか、軽く手を挙げてから、小林さんは車を動かすのが見えた。


 ガラス越しにだけど見えなくなっていく小林さんの車を見ながら溜め息を溢した。


 腕時計を見ると既に日にちは変わっていて、我が儘は言えないのは分かっている。こんな遅くになってしまったのは私が仕事をしていたからなのにそれでも、もっと一緒に居たいと思う私はやっぱり我が儘だと思う。

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