あなたと恋の始め方①
「お揃いは嬉しいです」


 フッと出た自分の素直な言葉に自分が驚く。『彼氏とお揃いなの』そんな風にニコニコ笑いながら私に色々なものを見せた友達もいた。そんな友達を見ながら、あの頃の私はどうしてそんなに嬉しいのか分からなかった。でも、今はなんとなく分かる。


 たった一つの小さなキーホルダーでも一緒の物が欲しくなる。


「なら、俺がプレゼントする。折角一緒にいるのに急に離れてゴメン。急に静岡支社の営業課長から電話が入ったんだ。休みの日に電話してくることないから何事かと思ったんだけど、大したことなかった」


「そうなんですか?もしかしていまから静岡に戻らないといけないとか?」


「さすがにそれはないよ。営業課長が会社のセキュリティカードを無くしたって大騒ぎしていたけど、金曜日に磁気不良で毀損更新したのを忘れていただけだから大丈夫。金曜日の飲み過ぎてすっかり忘れていたみたいなんだ。大事なものだから焦ったと思う」


 小林さんの言葉を聞きながら、さっきの小林さんの真剣な表情の意味も分かる。セキュリティカードを飲んで無くしたと思うと冷や汗どころではない。


「本当に落としてのではなくてよかったですね」


「ああ。本当に落としていたら、始末書ものだもんな」


 そういうと小林さんは私の見ているキーホルダーを真剣に見つめる。並ぶモチーフが色々あるから迷っているのだろうか?


「美羽ちゃんはどれにする?」
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