あなたと恋の始め方①
「ありがとうございます。嬉しいです。大事にします」



 私がキラキラ輝くストラップを空に翳して見ていると、小林さんが私の顔を覗きこむ。そして、優しい吐息と甘い囁きが耳元に届いてくる。少し拗ねたような声は耳にくすぐったい。耳に感じる吐息に顔が熱くなる。


「ストラップを喜んでくれるのは嬉しいけど、俺も見てよ」



 そんな甘い言葉に、自分が子どものようにストラップの可愛らしさに夢中だったのに気付く。横にいる小林さんのことを忘れただけではないのに、つい夢中になってしまった。女の子らしいものとかに殆ど興味もなかったのに、この頃とても気になるのは自分が変わってきている。キラキラ光るストラップは店で見た時と小林さんが私にプレゼントしてくれた今ではとは全然違う。


 小林さんの言葉にドキッとしてしまった。


 可愛いストラップに夢中になりすぎた私は距離感が掴めてなかったと思う。間隔が掴めてなかったというのはちょっとの言い訳にか他ならない。不意に見上げたその先には小林さんの整った顔があって、もう少しで唇が触れてしまいそうなほどの距離に私の心臓は簡単に飛び跳ねた。ドキンと激しく鳴ったのが小林さんに聞こえてしまったのではないかと思うほど自分の心臓の音に驚く私がいる。


「ごめんなさい」


 私がスッと身体を離そうとするとギュッと腕を引かれ、私の身体はフワッと浮き、小林さんの胸に落ちていく。私の身体がすっぽりと包まれるほどの大きな胸に包まれていた。

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