あなたと恋の始め方①
 でも、もう誘ってしまったから引き返せない。でも、私の部屋に誘ってどんな風に思ったのだろうか?


 嫌われてはないと思う。だから、私が誘った時も嬉しそうにしてはくれていた。まあ、私の部屋に来るというのは付け足しで、実際はハンバーグを食べにくるだけ。でも、今更ながらにどうしようかとは思う。


 本当に私の部屋に来るの?


 私の部屋は女の子の部屋というよりは研究室の分室という雰囲気が漂っている。机の上にあるパソコンの横にはたくさんの資料となる本が積みあがっている。研究を家に持ち帰ることはないけど、ちょっとした調べ物をし始めると止まらなくなる。だから、パソコンの横には資料が積みあがってしまう。


 一般的な女の子の部屋ってどんなだろう。


 私はベッドから身体を起こすとパソコンを開き、『女の子の可愛い部屋』と検索してみた。検索の一番上にあるのをクリックして出てきた画像を見て吃驚した。こんな部屋に実際に女の子は住んでいるのだろうか?


 パソコンの画面を見て息を呑む。


 いくつも並んだ画像はまるでお姫様のような部屋で、白を基調としてとっても可愛い。可愛いとは思うけどこの綺麗な部屋の中で生活する自分がどうしても想像出来ない。逆立ちしても無理だと思った。


「とりあえず掃除だけはしないと」


 そんな言葉と共に溜め息を零す私だった。


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