あなたと恋の始め方①
 小林さんの後ろに視線を移すとそこにはチェックインを終わらせた人がたくさん居る。荷物を運んで貰うのを順番に待っているのだろうか?大きなトランクがたくさん並んでいる。家族連れもたくさんいるのに、私の目に映るのはこれから一緒の部屋に行くと思われるカップルばかりだった。二人の間だけに醸し出される甘い空気が見えるよう。


 親子連れもたくさん居るはずなのに、私にはその幸せそうな微笑みが胸に突き刺さるような気がした。抱かれることを望んだかというとそうではないかもしれないけど、それでも私は小林さんと一緒に時間を過ごしたかった。初めてのデートで抱かれるというのに躊躇しないでもないけど、それでも、小林さんと私には積み重ねていた時間がある。だから、私の中では自然なことだった。


 小林さんの手の中にある鍵を見て、急激に気持ちが萎んでいくのを感じる。拍子抜けするということはこういうことだと思う。下着もどうしたらいいのか考えるのも必要なかった。私の頭の中には別々に部屋という考えは無くて、勿論、朝まで一緒だと、ずっと一緒に居られると思っていた。


『寂しい』


 でも、そんな気持ちを悟られたくなかった。


「ありがとうございます」


「うん。案内の人は断ったから、自分たちで行くけどいいかな?荷物も無かったし。足りないものは後からコンビニでも行こう」


「は、はい。」

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