あなたと恋の始め方①
「眠ったのですね。私が待たせ過ぎです」


 小林さんは自分の身体の力が全部抜けたかのようにソファに沈みこむように眠っている。気持ちよさそうに寝息を立てていて、その規則正しい寝息が私の緊張を解き放つ。私が今日一日緊張したし、疲れたように小林さんも私との初めてのデートで緊張し、疲れたのだろう。


 ベッドのところに置いてある時計を見て私は驚いた。時間は夜中の一時を過ぎていて、私がシャワーを浴びに行ってから一時間は過ぎていた。テーブルの上には二本目の飲みかけのビールが置いてある。一本目にビールの缶の横にある二本目のビールの缶には水滴が付いていて、そんなに飲んでないことが分かる。寝入ってからかなりの時間が経っているということが分かった。


 疲れた後に呑んだビールが一気に身体を駆け巡り、小林さんを眠りに誘ったとだろう。シャワーを浴びて、お腹もいっぱいで、ビールの少しの酔いなら寝てしまうのは分かる。


「こんなところに寝たら風邪を引きますよ」


 ソファに風呂上がりの状態で寝ると確実に風邪を引く。かといって、私が小林さんを抱えるほどの力はない。だから起こすしかなかった。幸いにもベッドとソファの距離はそんなにないから、小林さんが少しでも立ち上がってくれたら、すぐにベットに横になることは出来るだろう。


 でも、角度を間違えたら小林さんは床に転がってしまうから、慎重にしないといけなかった。
< 332 / 403 >

この作品をシェア

pagetop