あなたと恋の始め方①
 一瞬、自分の耳が可笑しくなったのかと思った。まさか、このタイミングで折戸さんの名前が出てくるとは思ってもなかった。私の中での折戸さんはお兄さんのような優しさをもった先輩でしかなくて、それ以上でもそれ以下でもない。人間的に素晴らしい人だから尊敬もするけど、それは恋とは違う。


 私の中で小林さんしか考えられない。だから、小林さんに好きだと言った。一緒に居たいと思った。


 でも、小林さんは心のどこかに折戸さんに対してのコンプレックスを抱いていたのかもしれない。折戸さんは客観的に見て完璧な人だと思うし、女の子が憧れる要素が散りばめられている。眩いと思うこともあるし、綺麗な顔にドキドキしたこともある。でも、それは私が小林さんに思う恋心とは違う。


 それを伝えることの難しさに私は直面していた。


「後悔は全くしてないです。私は小林さんがいいんです。傍に居たい」


 そういって、小林さんの方に手を伸ばした。その手に小林さんは手を重ねるとゆっくりとベッドと壁の隙間から出てきて、私が座っているベッドの上で向かい合うような形で座った。


 すると、目の前に小林さんのバスローブの胸元が肌蹴ていて、目の前に綺麗な肌が見えてしまう。急に恥ずかしくなって目を逸らしてしまった。

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