あなたと恋の始め方①
　朝からこんなに並んだ料理を食べることのない私は息を吐く。自分の取ってきたものは明らかに私の胃の容量を超えている。でも、小林さんと話しながら食べていると美味しくてたくさん食べてしまう。でも、これを続けると一気に太ってしまいそうだと思った。　


「こんなに食べたら太っちゃいます。私がどうしようもないくらいに太ったら小林さんのせいですから」

　
　そう言いながらグレープフルーツジュースを口に含む。


「大丈夫。責任取るよ。でも、美羽ちゃんは仕事のしすぎで食べるのを忘れるからいっぱい食べてもう少し太った方がいい」


　責任って…。心臓がドキッと飛び跳ねて、口に運ぶフォークが止まってしまう。小林さんはそんな私を見て、クスクス笑う。


「何、想像したの？」


「え。あの…。その」

「多分、それで合っているよ」


　私が想像したのは…。小林さんとの幸せな未来だった。でも、そんなことを恥ずかしくて言えない。付き合いだして間もないのに、この恋の先に幸せな未来を想像してしまった。


「一緒にマラソンだなんて無理です。小林さんのスピードについていけないです」


　マラソンなんか思いもしなかった。ただ、自分で想像したことを小林さんにいうことが出来なかっただけ。でも、自分で言ってみて思うけど、本当に小林さんのペースでマラソンをしたら、私は死んでしまうかもしれない。

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