あなたと恋の始め方①
折戸さんは少し真剣な色を帯びた表情を小林さんの方に向ける。それはさっき私に向けた微笑みとは違う。大人の男の人の表情で私はその魅惑的な微笑みに視線を奪われた。静かに心に沁みる声が私の耳に響く。サラリと零れた髪が折戸さんの綺麗な顔を彩る。
「幸せになれよ。蒼空。本気で大事にしろよ。美羽ちゃんは本当に蒼空には勿体ないくらいの女の子なんだから」
「わかってます。俺、誰にも負けないくらいに美羽ちゃんを大事にします」
二人にそんなことを言われるほどの価値が私にあるとは思えない。小林さんこそ私には勿体ないくらいの素敵な人だと思うけど、私は二人の間にある真剣な空気を感じて言葉を何も言えなくなっていた。そんな私がどうしても言いたかったことがある。それを伝えに私はここまで来た。
だから、少し小さな声でしかなかったけど、言葉を紡ぐ。
「あの、折戸さん」
「ん?」
「ありがとうございます。本当にありがとうございます」
「何がって聞きたいところだけど、やめておく。時間だし」
折戸さんは自分の腕に視線を投げるとフッと笑った。そこには時計があって、そろそろ搭乗しないといけない時間を針が差しているのだろう。
「時間だ。折角、こんなところまで見送りに来てくれたのに、コーヒーの一杯もご馳走できなくてごめんね。次回は美味しいものをご馳走するからね」
「いえ。折戸さん。また日本に帰国された時は連絡してくださいね」
「勿論だよ。じゃあ行くね」
「幸せになれよ。蒼空。本気で大事にしろよ。美羽ちゃんは本当に蒼空には勿体ないくらいの女の子なんだから」
「わかってます。俺、誰にも負けないくらいに美羽ちゃんを大事にします」
二人にそんなことを言われるほどの価値が私にあるとは思えない。小林さんこそ私には勿体ないくらいの素敵な人だと思うけど、私は二人の間にある真剣な空気を感じて言葉を何も言えなくなっていた。そんな私がどうしても言いたかったことがある。それを伝えに私はここまで来た。
だから、少し小さな声でしかなかったけど、言葉を紡ぐ。
「あの、折戸さん」
「ん?」
「ありがとうございます。本当にありがとうございます」
「何がって聞きたいところだけど、やめておく。時間だし」
折戸さんは自分の腕に視線を投げるとフッと笑った。そこには時計があって、そろそろ搭乗しないといけない時間を針が差しているのだろう。
「時間だ。折角、こんなところまで見送りに来てくれたのに、コーヒーの一杯もご馳走できなくてごめんね。次回は美味しいものをご馳走するからね」
「いえ。折戸さん。また日本に帰国された時は連絡してくださいね」
「勿論だよ。じゃあ行くね」