あなたと恋の始め方①
 折戸さんは私たちに綺麗な微笑みを残して、搭乗口に消えて行った。前と同じように私は姿が見えなくなるまで見送っていたけど、前よりも心の中に寂しさを感じる。男の人としてみることは出来ないけど、折戸さんは私の中で大事な人であるのは間違いない。そんな思いが私の中に寂しさとして、色を残している。


 搭乗口に姿が見えなくなっても見つめる私に小林さんはゆっくりと手を握り、見上げるとにっこりと笑った。私の気持ちを分かっているのか小林さんはキュッと私の手を強く握る。そして、自分の方に少しだけ引っ張った。小林さんは何を思っているのだろうか?



「展望台に行こうか。飛行機を見送るよね」


 小林さんは何も言わなくても、私の気持ちは分かってくれている。折戸さんの乗る飛行機が遠く見えなくなるまで見送りたいと思っていた。そして、空の彼方に消えていくまで見送りたい。


 展望台にいくと、金網の向こうに広く滑走路が見える。強い風が頬を撫で、髪を巻き上げる。だけど、それは一瞬だけのこと。風の吹く方に小林さんが立ってくれたので、私の髪はそのまま肩にサラッと落ちていく。


「ありがとうございます」


 小林さんはニッコリと笑うだけだった。

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