あなたと恋の始め方①
 思いはあの日に戻っていく。


 あの時、この展望デッキで余裕があるようにサラッと私に自分の気持ちを伝えてくれた小林さんが、いっぱいいっぱいだったというのを聞くと不思議な気持ちになった。でも、あの時があったから、私は次第に小林さんの事を一人の男の人として意識するようになった。


 でも、すぐに静岡研究所に転属になったから、これで小林さんと会うことはないかもしれないと思って寂しいと思ったけど、メールや電話で、ずっと繋がっていて、色々なことを話して行くうちに私は本気で好きになっていた。


 付き合う前に私を思って…この指輪を用意してくれた。そんな気持ちが嬉しく思う。


 私の右手の薬指にはキラキラと水色の光が輝いている。


 指に光る指輪はとっても綺麗で、今までみたどんな宝石よりも輝いて見えるのは小林さんの気持ちが籠もっているからだと思う。



「もし、あの時これを貰っていたら、こんな綺麗で高価な指輪を申し訳ないと思ったかもしれないです。でも、貰えなくても気持ちは嬉しかったと思います。でも、今はとっても嬉しい。ありがとうございます。大事にします」


 私がそういうと、小林さんは安心したのか穏やかに微笑んだ。私よりも小林さんの方がずっと緊張したかもしれない。


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