あなたと恋の始め方①
 期待すると言いながら、クスクス笑う小林さんは全然期待してないように聞こえる。でも、来週は頑張ると心の奥底に誓う。それに小林さんに会いたいというのは私の方だと思う。今すぐにでも小林さんの所に飛んで行きたいくらいだった。


『私も会いたいです』


『どこに行く?映画とか?』


 映画を見るのは嫌いじゃない。どちらかというと大好き。でも、映画館の独特の雰囲気が私は苦手だった。私は悲しい映画をみると思いっきり泣いてしまうし、面白い映画は笑ってしまう。映画の中に吸い込まれるように感情移入してしまうので、映画は一人で見るようにしていた。


 どうしても見たい映画以外は自分の部屋でDVDを借りてくることが多かった。自分の部屋だったら…泣いて、思いっきり鼻をかんでも誰にも文句を言われることはない。でも、付き合い始めた恋人のデートスポットとしては映画館は最適だと思うけど、それは一般論で一緒に行きたいような行きたくないような微妙な気持ちになる。


『映画でいいです』


 私は自分の気持ちを素直にいうことが出来なかった。でも、言えたとしても言わなかったと思う。苦手というのが言えないのではなくて、ずっと恋愛とは全く別のところで生きてきたからこそ、普通の女の子のように恋をしてみたいと思ったからだった。


 普通の女の子のように恋をしてデートをしたかった。

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