あなたと恋の始め方①
「ありがとうございます。良かったら座ってください。コーヒーでいいですか?」


「ありがとう。でも、もうすぐ蒼空が来るでしょ。その時に一緒でいいよ」


 小林さんが来るのももうすぐ。折戸さんの言葉に甘えて一緒に用意させて貰おう。


「フランスからだったら疲れたでしょ。帰国は昨日ですか?」


「いや、そんなに疲れてないよ。帰国したのは今日だよ。さっき成田に着いたから二時間ほど前かな」


「成田に二時間前?」


「うん。美羽ちゃんに大事な用事があったんだ。この土日は自由で、月曜日から東京本社で、美羽ちゃんのいる静岡研究所には水曜日に行こうと思っている。仕事のついでに来たから気にしないで」


 そんな話を聞きながら、私はフランスからここに直行してくれたのだと思うと、またまた私の気持ちは混乱してくる。大事な用事というのは何なのだろう。



「フランスはどうですか?」


「楽しいよ。周りにいる人も親切だし、仕事もいい感じ。美羽ちゃんは心配してた?」


「仕事の面では心配してなかったです。勿論人間関係も。でも、食事が違ったりするからそういう面では少し心配してました。まあ、私が心配しても仕方ないんですが」


「嬉しいよ。ほんとに」


 心の欠片を零したように呟かれた言葉が私の心のドキドキを加速させる。本社営業一課の時もそうだったけど、折戸さんは素敵過ぎる。


「そうだ。美羽ちゃんにお土産があったから、来たんだった」


 そういい、折戸さんは大きな紙袋を私の前に差し出した。


< 38 / 403 >

この作品をシェア

pagetop