あなたと恋の始め方①
「これ、美羽ちゃんにお土産」


 そんな言葉と共に渡されたのはかなり大きな紙袋だった。袋の口から見える中にはたくさんの箱が入っている。どうみても一つや二つじゃない。そのどれもが綺麗なリボンが掛かっている本格的な感じのお土産だった。何人か分のお土産を買ってきて、その中の一つを選べということなのだろうか?

 
 私が選ぶなら実用的なものがいい。


「何がおすすめですか?」


「え、これ全部美羽ちゃんのだよ」


「まさか、これ全部ですか?」


「そうだよ。じゃないと、ここには持ってこないよ。こんなの静岡研究所に持っていけないでしょ」


 ふつう考えてみて、両手で抱えるくらいの大きな紙袋の中身が全部私へのお土産とは思わないだろう。吃驚して折戸さんを見つめると、穏やかな微笑みを浮かべている。冗談ではないらしい。


 私はテーブルの上に紙袋から一つ一つ出していくと、折戸さんがご丁寧に説明を施してくれる。


 まず一番上に置いてあった箱は有名店のお菓子で、これが日持ちしないという理由でマンションまで届けにきたのだと折戸さんは笑う。フランスで有名なお菓子屋さんだと折戸さんはいうけど、私は名前さえも知らない。それとは別にカラフルなマカロン、チョコレート。マシュマロにキャラメル。クッキーにマドレーヌ。


 お菓子だけではなく、繊細な細工を施した真鍮の箱に、可愛らしいエッフェル塔の置物。綺麗なハンカチに可愛らしいポーチ。フランスでよく使われているという自然派化粧品に、ハンドクリーム。練り香水にマニュキュア。
テーブルに並んでいくお土産の数々は女の子の目をパッと見開かせるくらいの威力は持っている。

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