あなたと恋の始め方①
「ゴメン。俺さ、実はテンパっている。自分でいうのも可笑しいけど、緊張してるんだ。帰さないとか言ったけど美羽ちゃんの嫌がることはしたくないし、でも、俺も男だから抱きたいとも思う」


 そういって困ったような顔をして、ニッコリと笑った。そんな小林さんを見て私はホッとした。さっきまでの沈黙は静かに消え、小林さんの優しい微笑みと共に部屋の空気が軽やかになったような気がする。


「私も緊張してます」


「だろうね」


「わかります?」


「うん。顔を見れば、でも俺も正直走り回りたいくらいに緊張してる」



 小林さんはマグカップをテーブルの上に置くと、立ち上がって私の前に来ると、私の横に座りキュッと私の身体を抱きしめた。服越しに感じる温もりと共に聞こえてくるのは早鐘のように鳴る鼓動。私が緊張しているよりももっと凄いかもしれない。


「大丈夫ですか?凄い音です」


「聞こえないフリしてよ」


 そういうと、小林さんはもっと強く私の身体を抱き寄せた。聞こえないフリっていうけど、聞こえないフリが出来ないくらいに大きな音で、大きな広い胸に頬を寄せ、目を閉じた。


 小林さんの心音が心地よい。
 この音は私を好きだと言ってくれている音だから。


「美羽ちゃん。好きだよ」



 心音だけでなく、ハッキリとした言葉で何度も私を好きだと言ってくれる小林さんが私も好き。私みたいに恋愛に疎い女の子にも分かり易いように自分の気持ちを伝えてくれた。

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