あなたと恋の始め方①
 折戸さんの言葉で急に昨日まで必死にしていた研究のことを思い出した。まだ、完全とはいえないけど、それでも中垣先輩も私も精一杯頑張り、来週にはある程度の発表が出来るくらいのラインまでは仕上げた。でも、まだ、最後まで気は抜けない。


「そうですね。とりあえず山は越えました。しかし、まだ足りない部分もあるので、まだ時間は掛かりそうです。しかし、今週の折戸さんたちが来られる時に発表出来るくらいに、成果は上がってます」


「山は越えたのに、時間が掛かるか。やっぱり美羽ちゃんにとって研究員という仕事は天職なんだね」


「それならいいのですが」


「東京北研究所と静岡研究所が統合して、国内の研究所の拠点となったから、これからは海外の研究所との交換留学及び、転属の話も出てくると思う。技術の交流というか、国内外で動きをよくしたいらしい」


「それってどういうことですか?」


「今週の俺の帰国は静岡研究所の視察をする取締役の付添いが理由。まあ、俺にとって、それは二の次で、一番は美羽ちゃんの顔を見たかっただけだけど。
 美羽ちゃんが研究員としてフランスに来たいなら、俺から口添えする。フランス研究所はヨーロッパの拠点だから、近隣の国との交流もあるので、研究員としては大きくなれると思う」


 まさかこんな話が折戸さんの口から聞くとは思わなかった。


 東京北研究所が静岡研究所に統合された理由が東京北研究所の老朽化も原因の一つだけどそれ以外にも優秀な研究員を一同に集めるというのもあった。


 でも、まさか海外交流も考えられているとは思わなかった。
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