あなたと恋の始め方①
折戸さんは私のことを必要以上に買ってくれて優秀な研究員のように言ってくれるけど、実際の私は時間に追われるばかり。中垣先輩ならともかく私はまだそんな立場ではない。
それに、もし仮に仕事とはいえ、フランス研究所に行ったら私はまた小林さんと離れ離れになってしまう。今の傍にいるだけで幸せだと思っている私には到底考えられない。でも、もし、本当に行かないといけない状況になったら小林さんは少しは私と同じように寂しいと思ってくれるのだろうか?
「フランスとか考えられないです」
これは私の正直な気持ちだった。東京の本社営業一課から静岡研究所に転属して、やっと落ち着いて仕事が出来るようになったのにフランス研究所での勤務とかはどんなに考えても思い浮かばない。
「そう?俺もいるからそんなに心配しないでいいと思うよ。一人が怖いなら、俺と住めばいいだけでしょ」
折戸さんは綺麗な微笑みを浮かべると私を見つめている。その視線の優しさにホッとするのに、違う意味で胸が苦しくなる。俺と住めばいいって…。サラッと驚くようなことを口にする。
「それってどういう意味ですか?」
「言葉の通りだよ。前に言ったよね。俺が帰ってくるまでに何もないなら、落としに行くって。蒼空とは何もないんでしょ」
折戸さんの言葉で急に私の部屋のリビングから音が消えたような気がした。東京で私に言ってくれたことは折戸さんが私の気持ちを思ってくれてのことだと思ったし、冗談だと思っていた。確かに『落としに行く』と言われた気もするけど、冗談だと思っていた。
どうして、今のタイミングで折戸さんはこんなことを言うのだろう。
それに、もし仮に仕事とはいえ、フランス研究所に行ったら私はまた小林さんと離れ離れになってしまう。今の傍にいるだけで幸せだと思っている私には到底考えられない。でも、もし、本当に行かないといけない状況になったら小林さんは少しは私と同じように寂しいと思ってくれるのだろうか?
「フランスとか考えられないです」
これは私の正直な気持ちだった。東京の本社営業一課から静岡研究所に転属して、やっと落ち着いて仕事が出来るようになったのにフランス研究所での勤務とかはどんなに考えても思い浮かばない。
「そう?俺もいるからそんなに心配しないでいいと思うよ。一人が怖いなら、俺と住めばいいだけでしょ」
折戸さんは綺麗な微笑みを浮かべると私を見つめている。その視線の優しさにホッとするのに、違う意味で胸が苦しくなる。俺と住めばいいって…。サラッと驚くようなことを口にする。
「それってどういう意味ですか?」
「言葉の通りだよ。前に言ったよね。俺が帰ってくるまでに何もないなら、落としに行くって。蒼空とは何もないんでしょ」
折戸さんの言葉で急に私の部屋のリビングから音が消えたような気がした。東京で私に言ってくれたことは折戸さんが私の気持ちを思ってくれてのことだと思ったし、冗談だと思っていた。確かに『落としに行く』と言われた気もするけど、冗談だと思っていた。
どうして、今のタイミングで折戸さんはこんなことを言うのだろう。