あなたと恋の始め方①
 彼氏いない歴=実年齢の私には急展開過ぎて頭の中がショートしてしまいそうになる。折戸さんは私の恋を後押ししながらももしも勇気が出せないのなら、私の気持ちも何もかも魅了していくだろう。優しくて思いやりがあって、仕事も出来る。その上、端正な笑顔に均整の整った体躯は女の子なら誰でも憧れると思う。


 憧れの王子様と言っても過言ではない。



 折戸さんと一緒にいたら幸せは約束されていると思う。フランス支社から帰ってきたら、間違いなく昇格するだろうし、本社営業一課に戻るのかどうか分からないけど、その歩く先には光が満ちている。


 私は折戸さんに好意は持っている。尊敬もしている。仕事の熱心さ、そして、周りへの気遣い。本当に頭が下がる。でも、小林さんを思う時のような心が熱くなるような、ドキドキを通り越して、胸がキュッとなるような甘い痺れはない。



 恋と好意。
 似ているようで似てない。


「結婚ですか?」


 脳内で間違った変換でもしてしまったのではないかと馬鹿みたいに聞き返してしまった。折戸さんが私のことを思ってくれているのは分かっていたけどまさかそこまでとは思ってもみなかった。付き合った先に結婚という通過点があるといいとは思っていたけど、私は『彼氏いない歴=実年齢』の女。そんな私にプロポーズしてくれるのは…非の打ちどころのない『憧れの王子様』。


 聞き違いと思う方が正しい。
 

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