あなたと恋の始め方①
 小林さんはチラッと私の方に視線を投げるとフッと息を吐いた。そして、折戸さんをしっかりと見つめた。真っ直ぐな眼差しは折戸さんを見つめていた。そんな小林さんの真っ直ぐな視線に臆することなく折戸さんはにこやかに微笑んだのだった。


「違います。俺は美羽ちゃんのこと…」


 余裕綽々の折戸さんに比べ、小林さんの顔には少しの余裕もない。真剣で真っ直ぐすぎる瞳は折戸さんを移していた。穏やかな微笑みを讃える折戸さんはとっても真剣なのにどこか見守るような優しさを醸し出す。



「なら、何だ?自分の気持ちをハッキリ言ってみろよ。言えないならその程度ってことだろう」


「……そんなことないけど、人に言われて言うものではない」


 そんな小林さんに折戸さんはクスクス笑う。


 忘れそうになっていたけど、折戸さんは小林さんのこともとても可愛がっていて、仕事の面では厳しかったけど、それ以外では私と同じように、もしかしたらそれ以上に大事に思っている。そんな折戸さんが黙らせるくらいにまで小林さんを追い詰めた。


「蒼空。悪かったな。お前が可愛くて、ついからかいたくなった。でも、美羽ちゃんのことは本気だから。美羽ちゃんが幸せになるためにだったら俺はいくらでも頑張れる」


 折戸さんは優しいのか意地悪なのかわからない。でも、私は小林さんとは違う意味で好きだと思ってしまう。恋愛感情というよりは兄弟に対する思慕というのがそれに一番合うのかもしれない。ふと想像してみる。もしも折戸さんが私のお兄さんだったら…。


 思いっきりブラコンになりそう。そんなことを思ってしまった。


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