あなたと恋の始め方①
「折戸さんに恥ずかしくないようにしたいと思います」


 そんな小林さんの言葉に折戸さんはさっきよりもニッコリと笑った。その綺麗すぎる微笑みに一瞬魂が抜かれたかと思った。時間を止めてしまう破壊力のある綺麗な微笑みは私に降り注ぐ。


「さてと、そろそろ帰るよ。東京に行かないといけないからね」


「今からですか?今日は静岡の方に泊まるものだと思ってました」


 てっきり今日は静岡の方に泊まるものだと思っていた。成田から静岡に直行して…また東京に戻るなんて思いもしなかった。


「ああ。明日の朝から常務とのゴルフが入っているから、今日中に東京に行かないと明日が大変だろ。高見主任から誘われたら断れないでしょ」


 確かに高見主任からご留守に誘われたら行かないといけないという気持ちも分かる。大事なゴルフを控えているのにも関わらず私に会いに来てくれたと思うと申し訳ない。


「ゴルフがあるのに来てくれたんですか?」


「だって、フランスで美味しいといわれるお菓子を美羽ちゃんに食べさせたかったんだ。」


 日持ちのしないお菓子のために静岡まで来てくれた折戸さんは優しい。時差だってあるだろうし、折戸さんの身体のことを考えると、やっぱり心配になってしまう。ゴルフは朝早くからするものだから…とっても心配。




「お菓子は嬉しいけど、身体はきつくないですか?大丈夫ですか?」


「今の美羽ちゃんの言葉で疲れが全部癒されたよ。」


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